制限行為能力者(基本編その2)*行政書士試験‐民法*
みなさんこんにちは、堂本です。
前回に引き続き、制限行為能力者についてお話していきます。
今回は制限行為能力者の保護者の権限を中心に進めていきましょう。
まずは保護者が持っている基本的な権利です。一部例外がありますが、次の4つの権利を持っていると理解してください。
・同意権
・代理権
・取消権
・追認権
試験対策的にはまず、それぞれの権利の内容についてきちんと知っておくことが重要です。順にみていきましょう。
・同意権
保護者は制限行為能力者のために、同意、つまり「これこれの法律行為については一人でやっていいよ!」と許可してあげる能力を持っています。
制限行為能力者は、単独で法律行為をするための判断能力が不十分だと考えられています。そのため判断能力がある人に「この法律行為はあなたがやっても大丈夫だ」と太鼓判を押してもらって、初めて単独で法律行為ができるというわけですね。
・取消権
制限行為能力者のみんながきちんと保護者の同意をもらってから法律行為をするとは限りません。皆さんも子供のころ、保護者に内緒で買い物をしたことがあるのではないでしょうか。
そんな風に、制限行為能力者が保護者の同意を得る前に法律行為をしてしまうことも十分に考えられます。そのような場合に、保護者はその法律行為を取消すことができます。これが取消権です。(もっとも、取り消すことができるというだけで、絶対に取り消さなければいけないわけではありません。認めてあげることもできます。)
一方で、制限行為能力者が同意を得てからした法律行為は取消せません。
想像してみてください。
太郎「お母さん、10万円の時計なんだけど、買ってきていいよね?」
母「うん、いいわよ」
10分後
太郎「お母さん、さっそく買ってきたよ」
母「ちょっとあんた!何やってんのよ!今からお店に行って取消してくるわ!」
こんなことがOKだったら同意の意味がないですよね。というか保護者ポンコツかよって話になります。
そんなわけで、ちゃんと許可をもらってした法律行為は取消しができないということに注意してください。
また、もともと同意が不要な行為についても、取消しができません。同意が不要=リスクが低いということですから、取消を認めるまでもない、と考えておけばよいでしょう。
・代理権
制限行為能力者は保護者の同意があれば単独で法律行為が出来る、という話でしたが、果たしてそれだけで十分でしょうか。
同意権というのは保護者が太鼓判を押すことだ、と言いましたが、よっぽどアグレッシブな保護者でない限り、10歳の子供が何千万もする不動産を買う契約に同意をすることはないでしょう。
あるいは前回学んだ内容ですが、成年被後見人は同意があっても法律行為をすることができません。成年被後見人には判断能力がほとんどないと考えられているためです。
そのため、判断能力を備えた保護者に「代わりにやってもらう」ことが必要になります。これが代理権なのです。
例えば皆さんが幼いとき、学校に来ていく制服から習い事の申し込みまで、保護者の方にやってもらっているはずです。(全部自分でやってた!という人はテレビに出れるでしょう)
親が子供の世話をするのは当然といえるかもしれませんが、民法は個人主義、自己責任が原則なので、親子間であっても、人が誰かの法律行為を代わりにやってあげるには方便が必要なのです。民法ではこれを代理権と呼び、保護者に代理権を与えることで制限行為能力者を助けてあげられるようにしています。
代理権についてはまた詳しく学ぶ機会があるので、ここでは「代わりに法律行為をしてあげられる力」くらいに考えておいてください。
・追認権
今回初めて出てくるキーワードです。「ついにんけん」と読みます。(さすがに分かりますねw)
先ほどお話したように、制限行為能力者が保護者の同意を得ずに法律行為をした場合であっても、その法律行為をあとから認めてあげることで、有効にすることができます。これが追認です。言ってみれば「後からの同意」のようなイメージですね。
保護者が制限行為能力者の法律行為を「追認」した場合、その法律行為は当初から有効であったことになります。この場合でも法律行為は無事完了するわけですね。
この追認について、重要な点が3つあります。
その1.追認は制限行為能力者の取引相手(相手方といいます)に対してする必要がある
たとえば未成年者(太郎君)が母親の同意を得ずに、高価な時計を買ってきてしまった場合を考えましょう。皆さんは時計屋さんの気持ちになってみてください。
時計屋さんは太郎君が高級な時計を買いに来たことについて、少なからず不安に思っているはずです。「両親の同意はあるんだろうか、きちんと確認しておくんだったな。もし後日取消されたらどうしよう。」という風に、時計屋さんは不安定な地位に置かれている状態です。
これについて家で以下のようなやりとりがあったとしましょう。
太郎「お母さん、欲しかった時計買ってきたんだ」
母「え?あの10万円の時計を?」
太郎「うんそうだよ、もしかしてダメだった?」
母「うぅん…まぁいいわ、今回は認めてあげる。追認してあげるわ、はい!つ・い・に・ん♡」
仮にこんなやりとりが家でされていたとしても、時計屋さんは知りようがないということです。母親の太郎君への愛情は時計屋さんまで届くはずないわけで、時計屋さんは相変わらず不安なまま日々を過ごさなければなりません。
そこで、母親が追認をする場合は、太郎君に対してではなく時計屋さんに対してしなければならない、と定められています。
注意その2.一度追認すると、その行為は取消せなくなる。
これも時計屋さんの気持ちになるとわかると思います。「追認します」と言われて3日後に「やっぱり取消します」と言われると、時計屋さんとしては暴れたくなりますよね。
そんなわけで、一度追認した法律行為は取消すことができなくなります。初めから有効だったことになるんですから当然だ!くらいに考えてもらえば良いでしょう。
注意その3.追認の意思表示をしなくても、追認したものとみなされる場合がある。
追認の関係で最も出題の可能性が高いのがここです。民法には法定追認という規定があります。条文を見てみましょう。
(民法125条)
前条の規定により追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一 全部又は一部の履行
二 履行の請求
三 更改
四 担保の供与
五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六 強制執行
なんだか難しそうに見えますが、皆さんも法律の専門家になった暁には、全然知らない法律や省令の条文を日常的に読まなければならなくなります。気合で目を通してみてください。もちろん理解できないところがあるのは当然です。分かるところだけ雰囲気を掴む感じで今は十分です。
そして今のところ重要なのは一号と二号だけです。この後も何度か出てくる条文なのでここではさらっと説明します。
先ほどの時計屋さんがたまたま在庫切れだったものの、気の早い太郎君は購入契約書はサインをして、先にお金も払ってきたとします。
どんな家庭だ、という突っ込みはありますけどね。
その数日後に母親が「この間うちの太郎が注文した時計はまだ入荷しないのかしら?そろそろ届けてくださらない?」と時計屋さんに言った(履行の請求をした)場合、法定追認という効果が発生するのです。法定追認とは、母親が追認の「つ」の字も言っていなかったとしても、追認したのと同じことになる、というものです。
今回母親は時計屋さんに対して、時計を届けてください!と「履行の請求」をしています。時計屋さんからすれば、「この間はいきなり未成年者が時計を買いに来て不安だったけど、保護者から問い合わせが来たんだから、もう取引は有効だろう」と考えるのが普通です。この時計屋さんの期待を保護する意味で、追認そのものをしたわけではないが、結果的に追認したのと法律上同じ扱いをする、これが法定追認です。
ちなみに、みなされる、というのは、実際にそうしていなくても、法律上はそうしたのと同じ効果が発生することを意味します。たびたび出てくる言葉なので覚えておきましょう。
あるいは母親が時計の購入代金の全部または一部を時計屋さんに持っていった場合も同様に、法定追認となります。
時計屋さんとしては「母親がお金を払いに来たからもう大丈夫だろう」と考えますよね。この場合もやはり、信頼を裏切ってはいけないという意味で、きちんとした追認がされていない場合でも、追認された場合と同じく取引が有効になる。これが法定追認なのです。
それでは、ここまでのまとめです。
①保護者の基本的な権限は、同意権、取消権、追認権、代理権の4つである。
②追認とは、取消すことができる法律行為を、さかのぼって有効に確定させる行為である。
③追認は相手方に対してする必要があり、一度追認をすると取消すことができなくなる
④追認そのものをしていなくても、追認したとみなされる場合がある。
保護者の権利については先ほど4つ上げましたが、制限行為能力者ごとに違いがあるので、ここからは制限行為能力者ごとに保護者の権限をみていきましょう。
未成年者の保護者は法定代理人です。法定代理人とは基本的には両親だと思えば良いですが、事情があって両親がいない場合は未成年後見人というのが付きます。(未成年後見人はまたしばらくすると出てくるので、ここでは両親を想像すれば良いでしょう。)
法定代理人の権限は以下の通りです。
同意権…○
取消権…○
追認権…○
代理権…○
以上のように、基本的な4つの権限全てを持っています。したがって、難しいところはあまりないです。全部できる!と覚えておくだけで良いでしょう。
唯一注意が必要な点としては、取消権は未成年者本人も持っているということです。未成年者は一部を除いて単独で法律行為をすることはできませんが、取消しだけは単独ですることができるので、きちんと覚えておいてください。
また、この取消は未成年者の保護のための規定なので、相手方から取消をすることはできません。
「おいコラ、お前みたいな子供が俺んとこの高級時計つけてんじゃねぇよ、お前は未成年者だから取消しだ!」というのは認められないということですね。考えてみれば当然で、それだったら初めから売るなよ、という話です。
図にまとめると以下のようになります。
さて、法定代理人が取消権を使うと、法律行為はさかのぼってなかったことになるという話でした。
今度は違う例で、太郎君がお父さんの高級な壺を無断で骨とう品屋に売ってしまったとします。(売却利益は20万円という設定で)
これに気付いたお父さんが取消をした場合、何がどうなるでしょうか。
父「あ、すみません太郎の父ですけど。」
骨とう品屋「あぁこないだの坊やですね。壺は20万円で引き取らせていただきました。」
父「実はあれ、勝手に太郎が持ち出したもので、取消をしたいんですが。」
骨とう品屋「おや、そうでしたか、それでは壺はお返ししますので、20万円をお店に持ってきてください。」
という具合に、取消す場合はお互いの利益(骨とう品やは壺、父はお金)を返還することになります。
ただし、太郎君がこの20万円をすでにゲームセンターで5万円使ってしまっていた場合、物凄いことが起こります。何と取消しをした場合、現存している利益だけを返せばそれでよい、ということになるのです。
つまり、太郎君がゲームセンターで使ってしまった5万円を除いて、残りの15万円、つまり手元に残っている利益だけ返せば良いということになります。社会常識で考えると、5万円は父が補てんするべきなのですが、それをしなくて良いのです。
これは、判断能力が未熟な未成年者の保護のための規定だそうです。お父さんの壺を勝手に売り払った挙句ゲームセンターで5万円も使うような子供は保護の必要がない気がしますが、一応そういうことになっています。ちなみにギャンブルなどで使ってしまった場合も同じです。
一方で、太郎君がこの20万円のうち5万円でラジコンを買っていた場合は、20万円の現存利益がある、と判断されます。太郎君が使ってしまった5万円はラジコンに形を変えて残っていると考えられるからです。(私としてはパチンコよりラジコンにお金を使う方がよっぽど健全だと思いますが)
なお、不公平な気もしますが、相手方(骨とう品屋)の方は現存利益に限らず、利益の全てを返還する必要があります。未成年者を保護するための規定なので、未成年者にしか適用がないということですね。
ポイントをまとめます。
①未成年者について、取消をした場合の返還は現存利益の範囲に限られている。
②形を変えて残っている利益は返還する必要がある。
③単にギャンブルなどで浪費した場合は、現存利益なしと判断され、その分は返還しなくて良くなる。
成年被後見人の保護者は成年後見人です。名前が似ているので注意してください。「被」がある方が守ってもらう人、ない方が保護者です。
成年後見人の権限は以下の通りです。
同意権…×
取消権…○
追認権…○
代理権…○
同意権がないということに注意してください。これは成年後見人だけの特徴になります。
成年被後見人は保護者の同意があっても単独で法律行為ができないため、その保護者である成年後見人には同意権がない、ということです。
ちなみに、未成年者のときのように、返還利益に関して現存利益でOKという規定はありません。
その他、追認権に関する話や、代理権がある点なども、未成年者のときと同じです。
被保佐人の保護者は保佐人です。こちらも「被」のあるなしで守ってもらう方か保護者かが変わります。
保佐人の権限は以下の通りです。
同意権…○(13条1項所定の行為について)
取消権…○
追認権…○
代理権…△
なお、前回学んだように、同意権は13条1項以外の行為についても定めることができます。
保佐人の特徴は、代理権のところに△がついていることです。つまり、保佐人には基本的に代理権がないのです。これは未成年者の法定代理人や成年後見人との大きな違いになります。
被保佐人は判断能力が比較的「ある」と考えられており、基本的な法律行為は単独でできるとされているため、代わりにやってもらうよりも自分でやる方がメインになります。実際13条1項所定の行為以外はもともと単独で出来るわけですから、代理権を初めからつける必要もないということですね。
ちなみに、保佐人が代理権を持つには、別途取り決めが必要になります。
被補助人の保護者は補助人です。もうパターンがわかってきましたよね。「被」のない方が保護者です。
補助人の権限は以下の通りです。
同意権…△(13条1項所定の行為の一部について定めた場合)
取消権…△
追認権…△
代理権…△
他の保護者と違い、全ての権利に△がついています。これはどういうことでしょうか。
まず、代理権については保佐人と同様に、被補助人は単独で出来る行為が多いため、ついていないと考えればOKです。上の3つはどうでしょうか。
前回の内容を思い出してください。被補助人は13条1項所定の行為の一部のみ同意が必要ということでしたが、全てを単独ですることができる、と定めることもできましたよね。
その場合補助人は太鼓判を押してあげる必要がなくなるため、同意権を持たない保護者になるわけです。私の同意がなくっても全部一人でやっていいよ、という感じです。
そして、同意が不要な行為について、保護者は取消ができないんでしたね。(忘れていたという人は1.制限行為能力者の保護者の基本的な権利をもう一度読んでみてください)
さらに、追認は取消すことのできる行為を後から認めてあげるものでした。ということは、取消ができない=追認もできない(する必要がない)ということです。
同意権がない→取消権がない→追認権がない
という風に、ドミノ倒しが起こっていると理解してください。
念のため確認ですが、被補助人について、13条1項所定の行為の一部について、従来通り同意が必要な行為を定めた場合は、補助人には同意権、取消権、追認権が付いてくることは注意してください。
色々見てきましたが、まずは保護者の基本的な4つの権限の内容について理解しましょう。それができたら、制限行為能力者ごとの微妙な違いについて整理して、頭に入れていきます。
ここで語らなかった内容は応用編に入れる予定です。また次回お会いしましょう。
制限行為能力者(基本編その1)*行政書士試験‐民法*
みなさんこんにちは、堂本です。
今回は民法の総則、制限行為能力者の基本的な内容についてご紹介します。
さて、制限行為能力者と言えば、勉強をスタートしたばかりの受験生が一番初めに勉強する箇所になります。この単元の特徴は以下の通りです。
・理解はあまり難しくない
・とはいえ、それぞれの違いが覚えにくく、丸暗記してもすぐに忘れてしまう
・意外と細かい知識まで出題される
とこんな感じです。 細かい知識は応用編でご紹介するとして、理解に必要な基本事項をだーっとまとめていくのが今回のコンセプトになります。
行為能力とは、単独で有効な法律行為をなす能力のことをいいます。
簡単に言うと、土地を買ったり、金融機関からお金を借りたり、行政書士に仕事を依頼したり、そういうことについて自分で決めて自分でやれる能力のことです。
ほとんどの成人にはこの「行為能力」が認められています。
しかし、ここで少し考えてみましょう。
例えば子供が一人で車を買う契約をしたり、銀行から何百万借りれたりしてしまうとどうでしょうか。
あるいは認知症の症状がある高齢者の方が、単独で自分の家や土地を売ってしまえるとしたらどうでしょうか。
悪い人に騙されたり、取り返しのつかない間違いをしていまいそうで、「大丈夫?」って心配になりますよね。
これらの人は通常の成人に比べて、法律行為をする際の判断能力に不安がある、と民法は考えています。そのため、これらの人々を制限行為能力者という扱いにして、単独では有効な法律行為ができないようにしているのです。
「単独ではできない」とはどういうことかというと、制限行為能力者が法律行為をする場合には、原則として保護者の同意を得てしなければならない、ということです。
もっとも、これらの人々は保護者の知らないところで勝手に法律行為をしてしまうこともたびたびあります。そのため民法は、制限行為能力者が同意を得ずにした法律行為は取消すことができる、とも定めています。
「すみませんうちの子が私たち両親に相談せずに勝手に大きな買い物をしてしまって…モノはお返しするのでお金を返していただけませんか?」
という申し出が認められるってことですね。
ポイントをまとめます。
①未成年者や一部の高齢者などは、単独で法律行為ができない場合があり、これらの人々を制限行為能力者と呼ぶ。
②制限行為能力者が単独でできない法律行為をするには、保護者の同意が必要となる。
③制限行為能力者が保護者の同意を得ずに法律行為をしてしまった場合、その法律行為は取消すことができる。
これらのポイントは制限行為能力者の単元を理解する上で非常に重要なので、よく頭に入れておきましょう。特に②と③が大切です。単独で出来ないなら同意がいる、同意がなかったのなら取り消せる、という感じです。
ちょっとだけ脱線しますが、行為能力のほかに、権利能力、意思能力なんて言葉も登場することがあります。そこまで重要度は高くありませんが、一応解説しておきましょう。
・権利能力
権利義務の主体となる能力。平たく言うと普通に民法などの適用を受ける能力、くらいの意味です。 この権利能力は、生きた人間(自然人)には当然に認められますし、法人にも認められます。
行為能力みたいに認められたり認められなかったりということがほとんどないので、あまり問題になることはありません。(胎児については論点あり詳細は応用編)
意思能力
自分の行為の結果を予想し理解できる能力です。赤信号を渡ったら車に轢かれるかもしれないとかそういったことを予想できる力のことですね。 こちらは場合にもよりますが、大体7~10歳に認められると考えられています。
(ただし、泥酔してたり意識不明の人には認められない。)
意思能力に似た概念で事理弁識能力という概念がありますが、この2つは少し違う概念です。何がどう違うのかは正直私もよくわかっていません。
もっとも、事理弁識能力は不法行為の単元で出てくるくらいで、それ以外で事理弁識能力や意思能力が問題になることはほぼないので、あまり気にしなくても大丈夫です。
制限行為能力者には4種類あり、それぞれ性格がけっこう違います。これらの違いがバンバン出題されるわけです。
なんでもそうですが、闇雲に覚えるとうまくいきません。違いを覚えるためには逆に似ているところを探したり、覚えやすいようにグループを作ったりすると良いです。順番に紹介していきましょう。
・未成年者
20歳未満の自然人(生きた人間)のことをさします。 ちなみに2022年からは成人年齢が18歳になるのですが、2020年に試行される民法の大改正とはまた別なのでご注意ください。
認知症の高齢者などのうち、判断能力がほとんどない人のことです。自分の子供に「初めまして」って言ってしまうくらい、症状が進んでいる人をイメージしてください。
この未成年者と成年被後見人は「単独でできること」がとても少ないので、同じグループだと考えましょう。これが記憶のコツです。
・被保佐人
成年被後見人ほどではないが、かなり認知症の症状が進んでいる人などのことです。 あまりちゃんとした基準はないようですが、一人で買い物に出掛けたら帰ってこれるか不安があるくらいの方を想像しておくと良いでしょう。
・被補助人
認知症の症状がやや進み、日常生活に支障を来すくらいの方をイメージすると良いです。制限行為能力者の中で一番判断能力があると考えられており、できることも多いです。
ちなみに、制限行為能力者には未成年者以外に、「被」とついていることを意識してください。守って「もらう」くらいの意味です。
では具体的に、それぞれの制限行為能力者の行為能力の中身を見ていきましょう。
未成年者は単独で出来ることはとても少ないです。そのため、出来ることを覚えてしまって、それ以外は単独では出来ないんだなぁと理解するのが一般的です。
ちなみに、
「単独でできない=同意がいる」
これはもう大丈夫でしょうか。よくよく意識して進めてくださいね。
それでは、未成年者が保護者の同意なく、単独で出来ることを挙げていきます。全部で3つあります。
・単に権利を得または義務を免れる行為
意外と理解が難しいところです。時々「未成年者が得をすることは単独でやれるってことね!」みたいに単純に考ている人がいますが、そうではありません。
ここでいう単に権利を得または義務を免れる行為とは、「一切の支出や失うものがない行為」と理解してください。
単に権利を得または義務を免れる行為の例
・金品の贈与を受ける(単にもらうだけなので支出なし)
・借金を帳消しにしてもらう(借金がなくなるだけなので何も失っていない)
・ 遺贈を受ける(これも単にもらうだけ)
遺贈ってなに?とか細かいことにこだわる必要は今はありません。法律を勉強しているとよくあることですが、かなり後になって学ぶことが先に出てきたりします。その都度全てを調べて覚えようとすると頭がパンクして飛んでいくので、今は言葉だけ知っておけば大丈夫です。
単に権利を得または義務を免れる行為ではない例
・1万円のものを5000円に負けてもらって買う(一応支出がある)
・借金や代金の支払い、その他の弁済を受ける(弁性を受けると債権が消滅し、二度と請求できなくなるため、債権を失っていると考える)
・負担つき遺贈を受ける(負担が付いているのでタダではない)
弁済ってなに?というのも今はそこまで気にしなくても大丈夫です。なんか支払い的なもののことね、と思っておきましょう。
話を戻しますが、単に権利を得または義務を免れる行為については、未成年者単独でできます。何の損もないため、保護者に同意を求めるほどのことではない。ということですね。
ちなみにここからさき、同意なく出来る行為は取消すことができない、と知っておいてください。これも非常に重要な事項です。毎回頭の中で繰り返しましょう。
・法定代理人が処分を許した財産の処分
また知らない言葉が出てきましたが、法定代理人とはこの場合両親のことだと思えば良いです。 そして、法定代理人が処分を許した財産の処分とは、おこづかいを使うことなどです。
お年玉で買い物をするときまでいちいち同意が必要となると大変だ、くらいに思っておきましょう。しつこいようですが、この場合もやはり、同意なく出来る法律行為であるため取消すことができません。
・法定代理人から営業を許された特定の行為
未成年者が営業するなんてイメージつかないぞ、という方はじゃりん子チエちゃんを思い浮かべると良いでしょう。
チエちゃんは親が経営する(しているかは怪しいが)ホルモン屋さんでお客さんに酒を注いだりホルモン焼きを提供したりして店を切り盛りしています。
この場合、チエちゃんお客さんに物を売ったりサービスを提供したりしてお金をもらっているわけなので明らかに法律行為なのですが、お酒を一杯提供するたびに親に同意を得るなんて出来るわけがありません。そんなわけで、営業を許された行為の範囲内では、いちいち同意を得なくても、単独で法律行為ができるよ、ということを民法が定めてくれているわけですね。
ちなみに、営業の許可は、業務の全般に対してしかすることができません。もし親が未成年者に営業を許可する場合、八百屋なら八百屋、ホルモン屋ならホルモン屋の全ての業務につき許可をしなければならず、一部だけ許可することはできないとされています。たとえばキャベツを売るのは良いけどにんじんはダメとか、酒はついでいいけどホルモン焼きは提供しちゃだめとかは認められていない、ということですね。(ややこしくなるから)
それではここまでのまとめです。
①未成年者はほとんどの法律行為について親の同意が必要(仮に同意を得ずにされた場合は取り消しができる)
②例外的に同意が不要なのは以下の3つである。
単に権利を得または義務を免れる行為(一切の支出や失うものがない行為)
法定代理人が処分を許した財産の処分(おこづかいを使うこと)
法定代理人から営業を許された特定の行為(親の店の手伝い)
③制限行為能力者が同意を得ずに単独でした法律行為は取消しができない
判断能力がほとんどないくらいに認知症が進んでいる高齢者などです。
こちらも未成年者と同じように、出来ることの方が少ないため、何が出来るかを覚えてしまい、あとは全部できないと考えましょう。
とはいえ、未成年者の場合よりもだいぶ理解は簡単です。詳しく見ていきましょう。
・成年被後見人が単独で出来る法律行為
日用品の購入その他日常生活に関する行為だけです。未成年者の場合は3つありましたが、成年被後見人には1つしかありません。
生活に必要なもの、たとえば食べ物とか歯ブラシとかの買い物は単独で出来るということです。逆に言えば、成年被後見人が出来るのはそれだけということになります。
さて、察しの良い方は「じゃあそれ以外の法律行為はすべて保護者の許可がいるのね?」と理解してくださるかもしれません。しかし、実は違います。成年被後見人は日用品の購入等を除いては、たとえ保護者の同意があったとしても単独で法律行為をすることができないのです。同意はあってもなくても同じ、まったく無意味ということになります。
成年被後見人は判断能力がほとんどないと考えられているため、同意があったとしても単独で法律行為はできない(同意があっても取り消しができる)ということです。
え?じゃあ物を買ったりしたい場合はどうしたらいいの?全部単独でできないなら方法がないんじゃない?と思われるでしょうが、成年被後見人の保護者には代理権というものがあります。こちらは次回解説しますが、つまりはすべて代わりにやってもらうのが基本になります。
繰り返しになりますが、仮に同意があっても単独でできないというところが他の制限行為能力者と決定的に違うところなので、注意してください。
仮に成年被後見人が勝手に法律行為をしてしまった場合は取消しができるということですね。
それではまとめです。
①成年被後見人は保護者の同意があったとしても単独で法律行為ができない(同意を得てした場合であっても取り消せる)
②例外的に日用品の購入や生活に必要な行為はできる。成年被後見人が単独で出来るのはこれだけ
さて、ここから先の被保佐人と被補助人は、逆に多くの法律行為を同意なく、単独で行うことが可能です。そのため、出来ないことを覚えてしまった方が早いです。しかも被保佐人と被補助人は、この出来ないことが非常によく似ています。そんなわけでまとめて書いていきます。
・被保佐人が単独で出来ないこと(同意が必要なこと)
13条1項所定の行為
・被補助人が単独で出来ないこと(同意が必要なこと)
13条1項所定の行為の一部
お分かりでしょうか、13条1項の全てにつき同意が必要なのが被保佐人、全てではなく一部だけ同意が必要なのが被補助人ということです。ちなみにこの場合の「一部」が何かというのは、保護者が裁判所と相談して決めることができます。
13条1項に何が書いてあるかはすべてを覚える必要はありません。私も全然覚えていませんでした。簡単に言ってしまえば家を買うとか、大きな借金をするとか、重要な法律行為がいくつか書かれてあります。(細かいことは応用編にて)
被保佐人とか被補助人というのは制限行為能力者の中でも判断能力が比較的高いと考えられているため、特に重要な法律行為のみ同意が必要とし、あとは単独で出来ることになっているのです。
ちなみに、被補助人については、13条1項の所定の行為のうち、すべてを保護者の同意なく、単独で出来る、としてしまうことも可能です。この場合被補助人は通常の成人とほぼ同等の扱いとなります。(まったく同じにはなりません、詳細は次回)
では逆に、被補助人につき13条1項所定の行為すべてにつき「同意が必要」と定めてしまうことは可能でしょうか。
答えは不可能です。それなら被保佐人とまったく同じになってしまい、初めから被保佐人と扱うのが適切だからです。
逆に被保佐人については、13条1項所定の行為以外についても、同意が必要と定めることもできます。何につき同意が必要と定めるかは保護者が裁判所と相談して決めることなので、ある程度自由に定めることができます。
それではまとめです。
①被保佐人は13条1項所定の行為につき、保護者の同意が必要。
②被保佐人について、これら以外に同意が必要な行為を追加することもできる。
③被補助人は、13条1項所定の行為のうち一部につき、保護者の同意が必要。
④被補助人について、これらの行為の全てを単独で行えるようにすることもできる。
次回は保護者の権限や種類、それ以外の事項についてお話しします。
*社会人の資格勉強法-行政書士*独学の受験生のためのモチベーション維持方法
みなさんこんにちは、堂本です。
前回のエントリーで、独学の方中心に実施できる勉強日記の付け方についてお話ししました。 今日は完全に独学の方向けの記事になります。どうやってモチベーションを維持するのかということをテーマに、お話しできればと思います。
1.模試を受けるなど、外に出る機会を作る
2.勉強法についてたくさん調べる
3.勉強ブログをつけるor覗く
まず気を付けたいのが、こもりっきりになってしまうことです。独学の方の中には仕事を休んで、あるいはそもそも仕事をしていなくて、ずっと勉強できる環境を持っている方もいます、 しかし、それでめちゃめちゃ捗るかというと意外とそうでもなかったりします。
その原因は体力の低下です。一見関係ないように見えますが、精神的なスタミナと体力的なスタミナはかなり関係があることが行動科学などの研究でわかっています。 ほとんど動かずに家にいるのもよくないということですね。
あるいは毎日に変化が無さすぎて、気力が低下することも考えられます。 うまく言えないですが、外部からの刺激に鈍感になるって感じですかね。 とにかくそういう状態だと、時間はたくさんあっても全然勉強が進まないような状態になりがちです。(私もそうでした。)
そんなときにおすすめなのがランニングです。陸上部並みに本気で走るのではなく、軽く息が上がる程度に30分ほど走る感じですね。ランニングはストレス解消にかなり効果があるらしく、ボーッと考え事をしながらじんわり汗をかくのは本当にいいです。
あと、生活にリズムを与えるという点では模試を受けに行くのもいいです。 ちなみに模試は夏にやっているものですが、簡単なものであれば春くらいからやっています。日程的におすすめなのは、LECさんの春のセルフチェックテストです。なんと500円で受けれます。
体を動かす、あるいは生活に少し変化をつけるのが、独学で勉強を続ける上でのポイントですよ!
私が独学時代に一番失敗したのは、間違った方法で勉強していることに気づけなかったことです。 これはある意味独学において最も難しいところです。
とにかく情報が少ないですし、仲間やライバルもいないので、自分で考えるしかないんですね。 自分が信じてやっていた方法が思いっきり間違っていたということは本当によくあります。私が思うに、受からない人の8割がこの状態でしょう。
もちろんはじめから100%正解の方法にたどり着くのは難しいですが、都度勉強の方法を修正していくことはそれほど難しくありません。 世の中には勉強法ブログが山のように溢れています。もちろんこのサイトを参考にしてくれてもいいですし、とにかく色々調べて、自分にあった方法を見つけてみてください!
もう1つモチベーションを維持する方法があります。自分でブログをやってしまうことです。 自分の勉強を公開することで、自分にプレッシャーをかけます。
仮に閲覧がほとんど無い状態でも、勉強日記として活用すればいいだけですし、上手くいけば訪問者と交流したり、アドバイスをもらえることもあります。
ただ、あまり凝ったブログにすると、勉強がお留守になったり、逆に挫折してしまうことがあるので注意してください。
今日は私自身の独学の経験から、モチベーションを維持するための工夫についてお話ししました。 あと、もし私でよければ、勉強の相談なども受け付けます。メールで連絡ください。 それでは!
*社会人の資格勉強法-行政書士*合格後の可能性
みなさんこんにちは、堂本です。
以前、行政書士は食えない資格かというお話をしました。その続きで読んでいただけるとよいかと思います。
合格後、多くの方は行政書士として成功するため、色々な情報収集をするかと思います。その中で、ぜひこれはやっておきたいというものを挙げています。
1.行政書士として活躍するには
2.企業の法務担当として活躍するには
3.さらなる高みを目指すには
試験に合格した当初から実務的な知識を持っている人は少ないでしょう。しかも、司法書士などであれば試験と実務がわりと繋がっていますが、行政書士はそうではありません。 資格取得直後は全くのひよっこ状態です。
行政書士会が主催する研修など色々ありますが、登録前に準備しておきたいという人はどうすればいいのでしょうか。
私が聞いた話では、まず実務用の本を何でもいいから一冊買うことです。 本を読んで全てを理解するのは難しいようですが、どんな申請があって、どのように進むのかをなんとなく知ることができます。
あと、登録前にできることとしては、資格予備校の実務講座を受けるのがやはり早いようです。 合格後も予備校のお世話になるというのは歯痒い気もしますが、結局一番役に立つという意見も多いです。
あと、今すぐ独立開業する覚悟があるなら地味に貯金も要ります。300万くらいあった方がいいという先生もいました。私なら死ぬまで行政書士にはなれないですね…まぁどれだけ準備しても失敗すると季もありますし、その逆もあります。やりたいと心から思うのであればやればいいわけです。極論ですけどね。
行政書士資格取得後、登録まではせずに、法律の知識をいかして企業で働くパターンです。 ちなみに私はこれに近い形で働いています。法務担当ではないものの、規約を作ったり個人情報保護に配慮しながらサービスを考えたり、技術の輸出入に関する手続きの準備などを担当したこともあります。
もちろん専門家レベルとは到底言いがたいですが、まぁ調べながらいろんな人に助けられながらなら何とかやれるレベルですかね。
当たり前のことですが、資格を取ったからといって全てを知っているわけではありません。特に行政書士試験は、ある特定の分野に深く入り込む試験ではないので、スペシャリティーを発揮するにも限度があります。
そのため、何をするにしても勉強しなければ、その分野のことはなにも分からないことがあります。資格を取ったからといって過信、過度な期待はできないということですね。
ただ、一度資格を取得すると、その分野の勉強の仕方が何となくわかります。私も初めて見る法律はいくらでもありますが、大体この辺に気を付けて読んだらいいのかなとか、そういったことが分かるようになってきています。これは大変なアドバンテージです。
合格後もある程度勉強を続ける意欲さえあれば、行政書士業務をしなくとも、資格を得るために勉強した経験が自分をめちゃめちゃ支えてくれます。 合格したら何ができるの?とか、どんな仕事につけるの?給料はいくら上がるの?就職には有利に働くの?とかそんなことばかり聞いてくる人がいますが、勉強する意味というのはそんな小さな物差しで図るよりもっと大きいものです。
行政書士自体も価値のある資格ですが、さらなる高みを目指すために、他の法律資格取得を目指すのも良いでしょう。 何を受けたら良いかという話ですが、難易度的に近しいものとしては社会保険労務士があります。
ただし、行政書士試験と共通する科目が一切ないので、予備知識0の状態から勉強することになります。 試験の性格も結構違うように思うので、特に合格後のビジョンがないのであれば無理に受ける資格ではありません。
知識の領域として似ているのはビジネス実務法務検定です。1級を持っていれば企業法務担当からも一目置かれます。ただし、ビジネス実務法務検定は2級を取得しなければ1級を受けられない制度なので注意が必要です。 ビジネス実務法務検定についてはこのブログでも触れているので、ぜひ参考にしてください。
今回は行政書士の合格後の展開について簡単にお話ししました。 行政書士として働くかどうかはともかく、自己研鑽や専門性を高める意味で、行政書士試験にチャレンジする価値は十分にあるということですね! それでは!
*社会人の資格勉強法-行政書士*記述式試験の攻略方法
みなさんこんにちは、堂本です。
行政書士試験まであと少しという時期ですが、合否のわけ目の1つはやはり記述式ですよね。
試験全問300点のうちの60点が記述式なので、実に配点の2割が記述式ということになります。ちょっとビビりますよね。 しかし、正しい勉強ができている人は案外記述式を恐れていません。それはなぜなのでしょうか、そして正しい勉強とは何なのでしょうか。今日はその辺りをお話ししていきます。
1.記述式試験の2大特徴
2.記述の基礎作りはテキストの読み込み
3.記述式試験の採点方法
記述式試験の特徴はいくつかありますが、大体以下の2点を押さえておけば大丈夫かと思います。
○出題分野とパターンが決まっている
記述式といえど、全ての分野から出題されるわけではありません。過去の出題実績から、記述式で問われる分野はかなり予測できます。 民法なら債権分野、行政法なら行政事件訴訟法が主な出題箇所です。
特に行政事件訴訟法の出題頻度は物凄く高く、毎年問われると思って準備するくらいでちょうどいいでしょう。 これだけもかなり勉強のポイントを絞ることができるでしょうが、 もちろん他の分野から出題されることもまぁまぁありますのでその点は注意が必要です。
もう1つ特徴的なのは、問いの形式がどれも大体似ているということです。 「誰が誰に(どこに)どのような条件において、何を請求できるか」が問われることが非常に多く、民法行政法ともに共通の特徴と言えます。
つまり、債権と行政事件訴訟法で上記のポイントをきちんと確認し、余裕が出てきたら他の分野も同じ方法で頭に入れておくことが、記述式対策の第一歩になります。
○細かい知識は出題されない
ほとんどの出題について、大まかな仕組みや条文の手続きそのまま、あるいは判例の事例がそのまま出題されます。 おそらく一通り勉強した人の中で、記述式で出題される知識を一切見たことがないという人はいないでしょう。 もっとも、ポイントを押さえて満点の解答するのは意外に難しいのですが、部分点を狙うことは十分に可能です。
それでは、具体的に記述式試験に必要な知識はどうやって身に付けたらいいのでしょうか。
ここでも私はやはりテキストの読み込みを推したいと思います。 ちなみに、このブログで紹介しているテキストの読み方はこちらを参考にしてください。
さて、読み込みといっても、記述式に向けて特別な読み方をする必要はありません。普通に読むだけで大丈夫です。 とはいえ、「普通に読んでください」ではアドバイスになりませんね(笑) 気を付けるのは2点です
○「誰が誰にどのような条件において何を請求できるか」に注目しながら読んでいく
前の項でもお話ししましたが、つまりは記述式で出題されるパターンにはまっている箇所がないか、テキストを読むときにアンテナを張るということです。
○インプットとセットでアウトプットする
漠然とした言い方になってしまいましたが、簡単に言えばきちんとテキストを使って勉強した上でアウトプットするということです。 ほとんどインプットせずに過去問をひたすら解きまくる人がいるようですが、いつまでやっても新たに出題される問に答えれるようにはならないでしょう。
あるいは記述式の対策講座で問題を解きまくれば受かると思ってしまう人もいるかもしれません。 記述式で問われるのは基本的な条文や判例の知識で、言い換えると受験生は常に触れているような知識です。
要するに記述式というのは、普段触れている知識をいかに正確に覚えられているかのチェックなんですね。何となくしか理解できていない箇所を放置していないか、イメージをつかむだけで満足していないか、きちんと知識として使える形になっているかの確認をしなければ意味がないでしょう。
さて、肝心の採点基準ですが、実はよくわかっていないのです。分かっていない理由は簡単で、公表されていないからです。
ただし、受験した人は全員自分の得点が何点だったかを知ることができるので、部分点があることが明らかになっています。また、予備校が収集した情報ににより、キーワード採点に近い方法がとられていることもおおよそ分かっています。
これはどういうことかというと、「それっぽいこと」が書いてあっても、法的なキーワードが含まれていなければ得点にならないということです。 このことからも、行政書士試験は記述式と言えども、やはり圧倒的に知識重視の試験だということがわかります。
記述式と言われると何か特別な出題がされ、特別な対策がいるように考えてしまうかもしれません。 しかし、実際はもっと単純なのです。正確な知識を持っていればセンスやテクニックがいるような試験ではありません。そしてその知識さえも、途方もない暗記力が要求されるレベルではありません。 そういう意味では、努力した人が報われやすい資格だと私は思っています。
*社会人の資格勉強法 ビジ法2級* 過去問を始めるタイミングは?
みなさんこんにちは、堂本です。
勉強を始めたての頃は、どのタイミングで過去問に手をつけていいのか分からなかったりしますよね。
過去問は最後の最後で!という人はさすがにいないでしょうが、あまり早めにやっても意味がないんじゃないかな?とか、色んなことを考えることでしょう。
今日は、過去問をいつ頃始めたらいいか迷っている方に向けたお話をしていきます。
1.初めての過去問は、テキストの二周目が終わった頃に
2.何年分くらいやったら受かるの?
3.目指せ!テキストと過去問の三往復!
初めて過去問を解くタイミングですが、テキストの二周目が終わった辺りが良いでしょう。 (ちなみにテキストは単に読むだけではなく、テキストを活用したアウトプットを行います。詳しくはこちらのエントリーで紹介しています。)
過去問にとりかかるタイミングが遅すぎるのは絶対にNGですが、早すぎても意味がありません。 時々、テキストをざっと素読したらすぐに過去問にかかるように教える人がいるようですが、信じがたいことです。
ほとんど何も分からず、クイズを解いているような感覚になるでしょう。 テキストの二周目を終えると、余白の発問の6割くらいは答えれるようになっているはずです。せめてこの状態にしてから過去問に取り組みましょう。
過去問をめちゃめちゃ遡ってとにかく解きまくるという人もいるようですが、きちんとしたインプットができていればそこまでしなくても受かります。 5年分もやれば十分ですし、3年分でも大丈夫だと思います。
ちなみに、過去問についてはこのブログでさんざん語っていますが、とにかくこのことだけは理解しておいてください。過去問をインプット素材にしてはダメです。(詳しくはこちら)
初めて過去問を解く際は、もっとも古い年度を一年分だけやれば良いでしょう。(5年計画なら5年前、3年計画なら3年前です。)
あとはテキストを一周読むごとに壱年分過去問を解くと良いでしょう。テキストの3周目に入って、終わったらもう一年分、4周目に入って、終わったらもう一年分という具合です。
つまり、過去問はインプットの修正に使うわけです。意外とポイントを読み飛ばしてたなとか、ここは苦手だからゆっくり読もうとか、記述力で問われても大丈夫なように考えながら読もうとか、何でも構いません。
インプットした知識をきちんとアウトプットできるようにし、アウトプットの結果をインプットに活かすという黄金のサイクルを作りましょう。勉強がうまい人はこの作業がめちゃめちゃ得意です。
今日は過去問を解くタイミングについてお話ししました。参考になったでしょうか。 テキストの読み方や過去問の解き方等について解説したエントリーもあるので、よかったら参考にしてください。 それでは!
*社会人の資格勉強法- ビジ法2級 *テキストの読み方その2
みなさんこんにちは、堂本です。 今回のエントリーは前回からの続きになっています。まずはこちらをご参考ください。
1.問は具体的に!これめっちゃ大事!
2.問を作るときは4色ボールペンを活用しよう!
3.一日にとれる時間が少ない人のための方法
早速ですが一番大切なことについてお話しします。 前回のエントリーで、問を作りすぎないようにとお話ししましたが、もう1つ大きな注意点があります。
それは、問が漠然としていると勉強の効果が薄くなるということです。これは結構致命的なのですが、真面目な人ほどやりがちなので本当に気を付けてください。
ちょっと分かりにくいと思うので例を挙げます
ダメな例:片務契約を全て答えよ
良い例:消費貸借は片務契約か
違いがわかりましたか? ダメな例は非常に答えにくくなっていますよね。なぜ答えにくいかというと、問の範囲が広すぎて、一回に覚えられる知識の許容量を越えているからです。
こんな風に○○は何か、🌑🌑はどういう仕組みか、など、問の範囲が広すぎるものはNGです。もっと具体的に、簡単に答えられる問が良いですね。
はっきり言ってしまえば、問を見た瞬間に答えが半分くらい分かってしまうレベルがベストです。
また、問を作っている間に頭の中でポイントが整理され、頭に入りやすくなるとお話ししましたが、範囲が広い問を作ってもあまり頭が整理されません。インプットの作業としても非効率なので、本当に気を付けてください。
こっちは半分自己満足の世界ですが、私は4色ボールペンを愛用していました。 二周目のときに、一周目で書いた問が結構覚えられているぞ、という方は、二周目で問を足していくといいです。
そのときに、例えば一周目は緑色、二周目は青色、三周目は赤色というように、色を決めておきます。周をへるごとに色を変えていくわけですね。そうすると、一周回すごとに自分がレベルアップしているのが実感できるのです。
黒の質問を書き込んでいる四周目はおそらく神になった気分でしょう。 こんなふうに、一見下らない工夫でも勉強のモチベーションを高めるのに割りと役に立ちます。
さて、コツについては最後になりますが、なかなか勉強時間がとれない方へのアドバイスです。 短い時間でサッと回して、と繰り返してきましたが、忙しくてそうもいかない方もいることでしょう。
そんな方は、一周ではなく章ごとに区切って勉強してはいかがでしょうか。 例えば民法が終わったら次にいかず、もう一度民法の頭に戻る方法です。
少し気が遠くなるかもしれませんが、復習は少し忘れかけたくらいにやるのが最も良いと言われています。逆に言えば、完全に忘れてしまってから復習しても効果は薄いです。 勉強時間がほとんどとれないときには是非活用してください!
テキストの読み方について、二回に分けてお話ししました。いかがだったのでしょうか。 他にも私が考える勉強のコツや過去問の解き方、その他の情報を発信していますので、よければ他のエントリーも参考にしてください。 それでは!