みなさんこんにちは、堂本です。
今まで何度か、商業登記業務を実施するの権限が行政書士に開放される?みたいな話題が取りあげられています。
実際には日本司法書士会連合会がこの点を明確に否定しているのですが、中には本気で「そろそろ開放されますよ!」と言う人がいます。果たしてこの辺の信憑性をどう捉えたらいいでしょうか。今回はそのあたりについて語っていきます。
1. そもそも登記業務とは
登記という言葉は試験勉強していれば何度も出てきますが、イメージがわきにくい人も多いでしょうね。
登記とは簡単にいうと、不動産や会社の情報などについて公的に記録し、世間に公表する仕組みのことです。
登記と一口に言っても色々あるのですが、このうち行政書士に関係がありそうなのは商業登記ですね。行政書士は会社を設立する際の定款作成業務を行うことができますが、実際に会社が設立されるのは設立登記が完了したときになります。
そのため、設立登記まで出来てしまえば、行政書士の活躍の場が大きく広がることは間違いないでしょう。
さて、仮に行政書士に登記業務が開放されたとして、行政書士が商業登記を行うことができるのでしょうか。
結論からいうと絶対に無理です。
行政手続きの申請をする場合であれば、申請すべき事項は大体決まっていますので、経験の浅い行政書士であっても申請自体は割りとすぐに出来るようになります。これにたいして登記業務は、登記すべき事項は法定されているものの、どういった事象に対して何を登記すべきか、登記できない事項は何かなど、非常に専門的な知識が必要です。
仮に他の行政手続きと同じような位置付けで登記業務が開放されても、きちんと登記ができる行政書士は絶対にいないでしょう。
今度こそ開放されますよ!と元気に言い放つ人もいますが、おそらく登記業務の実態をほとんど理解していない方なんでしょうね。
他のエントリーでも書いているのですが、行政書士の役割は主に申請行為に係るお客さんの負担を軽減することだと思っています。専門的な知識に基づく判断をしてどうこうするタイプの士業ではないということです。
もちろん経験や知識が必要になることは否定しませんが、それは登記業務についても言えることです。
普通に考えて、すでに登記を専門にしている司法書士がいるにも関わらず、あえて行政書士に頼もうと言う人がどれ程いるでしょうか。考えなくても分かることです。
士業資格を持っていれば一定の職域の業務を独占できることが多いので、どの士業も職域を拡大することに躍起になる部分はあるのでしょうが、知見のない分野の業務を開放されても実務家は喜ばないと思います。
4.まとめ
おそらく一定の周期で、行政書士が登記できるようになるかも!という話題は生まれると思いますが、実現性は0に近いでしょう。
そもそも行政書士ができる業務は定款作成以外にもうんとあるので、商業登記にそこまでこだわる必要があるのかどうか、甚だ疑問です。
参考になったという方は是非他のエントリーもご覧ください!
それでは!